似たような格闘技に見えるキックボクシングとムエタイ。みなさんはこの2つの違いをはっきり分かっていらっしゃいますか?一般的にはあまり知られていませんが、実はルールや体の使い方などの本質的に違う点がいくつもあります。キックボクシングをやりたい方、キックボクシングを観るのが好きな方、いずれにしてもこの違いを知るだけでも、キックボクシングがもっと魅力的になるかもしれません!なるべく分かりやすくご説明しようと思いますので、気になったところからでも読んでみてください!きっと新しい発見がありますよ!
タイ発祥の格闘技「ムエタイ」は、400年以上の歴史があると言われています。古くは、領土の拡大のための戦いでムエタイのベースとなる格闘技術が発展してきたと考えられています。その後、学校教育にもムエタイが導入されたり、欧州でも興行が行われ、欧州の人々にも受け入れられほど発展してきました。打撃系最強と呼ばれ、昔は多くの空手家が挑戦し、敗退していたといわれています。
そんなムエタイに対抗するために1966年に野口修氏が生み出したのがキックボクシングです。ムエタイやボクシング、日本の空手などを取り入れられました。つまり日本発祥の打撃格闘技なのです。
ムエタイの特徴は強力で的確なキックと、組みついてからの、ボディをえぐるようなヒザ蹴りが特徴です。ちなみに相手の首に手を回し組みつくことを首相撲(クリンチ)と呼びます。
キックボクシングの特徴は、ムエタイや空手、ボクシングなど複数の格闘技が含まれているため、立ち技の中でも技が多彩です。空手式の後ろ廻し蹴りなどが代表的なキックボクシングならではの技です。また、ボクシングが得意な選手ならば、ボクサー顔負けのパンチ・テクニックを活かせることもポイントです。
それぞれの特徴でもっとも違うところは、肘と首相撲があるかどうかと言われています。ムエタイはヒジ打ちも首相撲(クリンチ)もOKですが、キックボクシングではルールにもよりますが両方禁止です。ここが一番の違いです。
ムエタイ、キックボクシングのルールで、議論されるのは、「ヒジ打ち」「ヒザ蹴り」です。どちらも骨の硬い部分を使った非常にダメージの大きくなるため、ルールによって禁止されることが多い技です。よくムエタイとの違いは、ヒジが有るか無いかと言われがちですが、ルールは試合や大会によって、異なるため代表的な「違い」ではないと言えるでしょう。
ルールよりも根本的に違うのが、採点基準です。キックボクシングは、「相手へどれだけダメージを与えたか」が採点の基準になるのに対し、ムエタイは、「技の美しさ、美しく当てること」が採点の基準になります。その点に注意して、両格闘技の選手の動きを見ると何を大切に動いているかが見えてくるはずです。
ムエタイは、ミドルキックやハイキックの採点が高く、パンチの採点は無いため、キックの応酬となります。キックで相手の腕を蹴っても、それは有効打とされるため、互いに向き合い立ち、ミドルキックばかりを蹴り合う、場面が必然的に多くなります。また、接近戦になると首相撲(クリンチ)を行い攻撃する試合展開になります。KOが少ないのも特徴です。
キックボクシングは、それぞれのスタイルで変わるので色々な試合展開のバリエーションが豊富です。キックが得意な選手、パンチが得意な選手、さらには正統派のムエタイのスタイルを貫く選手もいます。相手へどれだけダメージを与えるかを常に考えて選手は立ち回るので観ている人が盛り上がるようなKOシーンも多いことも人気につながっています。
キックボクシングとムエタイの違い、イメージ出来ましたでしょうか? 意外とファンの方でも知らない情報があったりしたと思います。世界中の格闘技の中で、どちらも「強い」と言われ、注目されている立技ですが、キックボクシング、ムエタイそれぞれの特徴やルーツを知ることで、実際にその試合を観たりすると、選手たちの目的が分かってくると思います。それぞれに魅力的な要素がありますし、強さのポイントが違うところが分かってくるとおもしろいですよね。興味がある方はぜひ、選手たちが何を重視して、技を繰り出しているかなども考えてみてください!もっともっと魅力的になるはずです。